蛇の話
小学校の頃、俺はそんなに友人が多い訳でもなく、どちらかというと一人でいる事の方が多かった。そんな数少ない友人の一人にT君がいた。俺の住んでいた土地は、市街地から電車でトンネルを二つ抜け、陸橋を渡ったところの山の合間にあった。
田んぼと山と川ばかりの何もない所だ。そんな場所なので、いつも遊ぶのは自然の中だった。
T君は虫取りの名人で、よくカエルや蛇を捕まえては俺に見せてくれた。いつものようにT君についてまわって雑木林で泥んこになって遊んでる時、T君は体長30センチくらいの蛇を捕まえた。その蛇はみたこともない白いうろこの蛇で、得意げに俺に見せてきた。
俺は「これなんていう蛇?」と聞くとT君は
「しらん。でもこれは毒がある。」
そういって彼は「今から毒を抜く!」と手にとった蛇のしっぽを掴み地面に叩きつけ始めた。しばらくやってるうちに、蛇はぐったりと動かなくなった。
心配そうにたたずんでる俺を見て、T君は「大丈夫!毒は抜けた」と言った。
俺はそんな知識もないので、そうなんだろうと納得した。