ただ、その怖さが理解出来るのは俺自身だけだと思う。
俺はこのスレの住人と同じく怪談話ドランカーだ。
そっとやちょっとの怪談話じゃ満足できない。
ある夏、バイト時間暇だったから、ふと創作怪談を一話作ってみた。
いくつかの話や友人が体験したことを組み合わせて、
独自に落ちまでつけた。我ながら傑作だった。
完成したのでバイト先の友人に話してみた。
「その話居間まで訊いたことのないタイプの話だ。コエー」
俺は結果に満足した。
数年して全く関係ないところで怪談話をした時、ふとその話をしてみた。
作って以来、バイト先の友人以外には話していない。
みんな怖がってくれたのだが、
向かいに座っている女のコだけがなぜか笑ってる。
落ちまで話したところでその子が言った。
「自分で作ったなんて嘘いって。その話、本で読んだことあるよ。
落ち訊く前に全部知ってたもん」
その時の恐怖といったら・・・・
多分、俺以外には誰も理解できないと思う。
自分の中で、自分の頭で作った物語が、いつの間にか、一人歩きしてる。
しかも話したのはたった一人なのだ。
それ以来、その話は誰にもしていない。
俺一人が洒落にならないほど怖かった話だ。